水玉と奇抜な見た目が印象的な日本人女性
芸術家「草間 彌生」
なんと、間もなく100歳を迎えようという年齢だそうです。ただ年齢を全く感じさせずにハツラツと今も活動をし続けている彼女。生涯現役を公言しているその人となりを、このブログならではの見方でお届けできればと思います😌
これまでの人生
まず彼女の経歴を簡単に紹介します。
○ 芸術への目覚め
1929年、長野県で種苗業を営む裕福な家庭に生まれる。10歳のころから絵を描き始め、近所の花畑をスケッチなどしていた。
高校生の時に地元の美術展覧会で入選し、卒業後は京都市立 美術工芸学校に入学して日本画を学んだ。
○ アメリカへ渡る
国内で活動を続けていたが、日本のアート界では彼女の芸術を理解する人は現れなかった。閉塞感と失望の中、アメリカ行きを決意。27歳、家族の反対を押し切って単身で海を渡る。
○ 苦難の日々
最初に待ち受けていたのは言語のハンデ。自分を売り込む自己PRや交渉が難しかった。続いては性別と人種のハンデ。当時のアート界は男性優位、さらに白人ではないアジア人女性ということが大きな壁となる。生活費に困り、慢性的な影響失調を抱えながらも制作を続ける。
○ 前衛の女王
シアトルでの初の個展を開催。続いてマンハッタンで行った個展が、当時の前衛芸術家たちから大きな注目を集め、ニューヨークでの活動基盤を手に入れる。過激なパフォーマンスがたびたび話題になり、「前衛の女王」と呼ばれるようになった。しかし商業的な成功とは言えず、収入は安定しないまま苦しい生活が続く。
○ 日本へ帰国
最愛のパートナーを亡くしたことをきっかけに、44歳で日本へ帰国。精神病院への入退院を繰り返しながら制作を続ける。小説や詩集なども発表し続け、60歳を過ぎて、ようやく日本でも評価されるようになってくる。1993年には、ヴェネツィア・ビエンナーレ※の日本代表に選出された。
※約130年の歴史を持つ世界最高峰の芸術の祭典。2年に一度開催される(美術と建築が交互)
○ 日本中で知られる存在に
auの端末プロデュース、ルイ・ヴィトンとの共同コレクションを発表するなど、商業分野での活動も行う。87歳、女性画家としては4人目となる文化勲章を受賞。以後、96歳の現在に至るまで精力的に活動を続けている。

10歳の頃に描いた母親 出典:Artpedia
内面世界の構築
彼女は、幼少期から統合失調症を患っていて、幻覚(視界が水玉や網目模様で埋め尽くされる)、幻聴(犬や花が人間の言葉で話しかけてくる)に悩まされていたと言われています。繰り返し襲ってくるそれらの恐怖から逃れるために、水玉と網目模様をモチーフにした絵を描き始めたそうです。この体験が、やがて彼女の創作の源泉になっていきます。
幻覚や幻聴、今まで経験したことありますか?
自分はありません・・・が、想像すると、この体験は幼い彼女にとって、生涯忘れられないくらいのショッキングなものだったと思うんです。幻覚や幻聴があるのは自分だけだと知った時の恐怖。大人である親はもちろん、同世代である友だちに言っても決して理解してもらえない絶望。他人と共有することができず、自分だけで抱えるしかない孤独。
私は今でこそ内向型であることを冷静に理解し、受け止めていますが、子供の頃は内向型という単語すら知らなかった。内向型より外向型が多いこの世界で、幼心に何か周りと自分が違う違和感を抱えていた。けれどそれを上手く言葉で表現することができず、言いしれない胸のつかえ、わだかまりを抱えながら大人になっていった。
だから何となく彼女の境遇が理解できるような気がするんです。あくまでも私の想像ですが。幻覚や幻聴を経験する人は、内向型よりもずっと数が少ないはずなので、さらに周りとの距離を感じていたでしょう。自分でもどうすればいいか分からない、鈍く続いていく痛み。それが彼女にとって、消し去ることのできないトラウマのような経験になったことは確かだと思います。
両親との関係にも悩んでいたと言われる彼女。それらの心の傷を癒やすように始めた絵。やがて作品を通して自分を表現することが生きがいとなっていき、苦労が多かった彼女の人生を100年近くも支え続けた。
内面世界を具現化
そんな彼女の内面世界が存分に反映された作品を、これから少しお見せします。
重要なモチーフである「水玉」「網目」
――― 強迫観念にかられたように執拗に繰り返される「反復」「無限」
――― 平面、さらには空間を埋め尽くし、やがては自分の存在をも覆い尽くしてしまう「自己消滅」
● 無限の網シリーズ


30歳、ニューヨーク。極度の貧困の中で制作。大きなキャンバスに延々と描き続け、手が腫れ上がったことも。「単調すぎる」と言われても作風を変えなかった。現在まで同じテーマで制作し、シリーズ化。
● 無限の鏡の間シリーズ


36歳、ニューヨーク。強迫観念的な衝動に駆られながら制作したのが最初の写真。男根状の布オブジェを何百個も自ら縫製し、観客が部屋に入ると無限に増殖して見える仕掛けとなっている。現在までシリーズ化。
● ナルシスの庭


37歳、イタリアのヴェネツィア・ビエンナーレ。許可を得ずに無断で屋外展示。多数のミラーボールを芝生に敷き詰め、「あなたのナルシズムを売ります」と描かれた看板を持って、通行人に1個2ドルで販売した。
これらの作品とエピソード、受ける印象を一つだけ挙げるとしたら ―――
逆境にあらがいながら、生き抜こうとする執念、覚悟を決めた生き様
そのようなものをひしひしと感じます。
かぼちゃ
自分にとって象徴的な意味を持つ食べ物ありますか?
単純に好きなものとはちょっと違います。パッと答えるのは難しいかもしれませんが、彼女の場合は「かぼちゃ」だそうです。

出典:Benesse Art Site Naoshima
彼女の自伝の中で、かぼちゃに魅せられたのは小学生の頃、おじいちゃんの採取場に遊びに行った時のことだと語っています。太っ腹の飾らなさ、力強さを感じたんだとか。作品にもたびたび登場し、彼女を象徴するアイコンになっています。
ちなみに自分の場合は「りんご」です。
りんごからは「神秘」「知性」「愛嬌」をなぜか強く感じられるからです。
歴史と科学が好きな自分にとって、アダムとイヴ、ニュートン、アップルコンピュータなどと結びつく「りんご」は、心を惹かれてやまない存在です🍎

半分に切ると星型に見えるのもまた魅力⭐
今回の記事は以上です。
彼女の目のくらむような強烈な存在感が、私と同じように内向型かもしれない、そんなあなたの心を少しでも照らしてくれたら😌






