時計というのはね、人間ひとりひとりの胸の中にあるものを、きわめて不完全ながらもまねて、かたどったものだ。光を見るためには目があり、音を聞くためには耳があるのと同じに、人間には時間を感じるために心というものがある。そして、もしその心が [・・・]
今回紹介する本は児童小説です(童話よりも深い内容です)
子供はもちろんですが、
「暇がない」「タイパが悪い」「もっと効率を」
が口癖のようになっている大人の私たちにも、「時間とは?」を考えさせる哲学的な作品です📖
どんな本?
昔むかし、どこかの国の町はずれにある円形劇場の廃墟。そこに暮らす身寄りのない少女、モモ。彼女は一見どこにでもいる普通の少女ですが、ただ一つ不思議な力を持っていました。
それは、人の話を聴いて心から共感すること。彼女の前だと、町の人々は自然と本音を語り、悩みはほどけ、争いは収まっていくという能力。
彼女と町の人々との団らん、そんな平和な雰囲気に満ちた町にも、やがて暗雲が立ち込めます。“灰色の男”と呼ばれる正体不明の人間が忍び寄ってきたのです。
彼らは人々にこう囁きます。「時間を節約すれば、もっと豊かになれますよ。“時間貯蓄銀行”の口座を開きませんか。時間を節約して貯蓄に回すと高い利子が付きますから」
それからというもの、町全体にどこかギスギス、殺伐とした空気が漂い始めます。人々は何かに追われるように、せわしなく日々を過ごしていく。そうして町からは笑い声が消えていきました。
町にはいったい何が起こったのか? “灰色の男”たちの正体は? 目的は?
―――
“灰色の男”を始め、モモの愉快な友達たち、予言者のカメ、時間の番人などファンタジー溢れるキャラクター。自分の子供時代の記憶の断片を探るような、どこか懐かしいストーリー。その中で現代社会に対する作者の確固たるメッセージが込められた、子供も大人も楽しめる本です。
※作者のミヒャエル・エンデ(1929 – 95)は、ドイツの児童文学作家。奥さん(2番目)は日本人だったそうです。

時間を貯蓄?
“時間貯蓄銀行”
自分が本を読んで、頭から離れなかったのがこの言葉です。
時間を貯蓄するという表現に、何かがトゲのようにひっかかる、違和感を抱いたからです。文字通りの意味を考えると、お金ではない時間、形がない時間を貯蓄なんてできる訳がない。だけどもう一度考えてみると、貯蓄できそうな気がしないでもない。こんな押し問答が、自分の頭の中で繰り返されたんです。

ところで、
「なんで1日は24時間なんだろう? これ以上増えないのかな?」
今までこう考えたこと、あなたはありますか?
私は忙しい時、よく考えます😅 ただ24時間は当然ながら増えないんですよね。なので忙しさを解消するためには、仕事、勉強、食事、掃除、娯楽、移動、睡眠など、24時間の中でどれかの時間を減らす、つまり節約しないといけない。節約するために色々な効率化ツールや時短テクニックを駆使しながら、日々躍起になって自分は過ごしています💦
あなたも似たような生活していますかね?
時は金なり
時間はお金のように節約はできるが、貯めることはできない。やっぱり時間とお金が違う。当たり前。ただその一方で、どこか似た雰囲気も感じてしまう。なぜか?
“時は金なり”(英語では“Time is money”)
という言葉。誰しも何回か聞いたことがあると思います。

時間とお金が同じように見えてしまう錯覚の根底には、この言葉ある気がするんです。
時間=お金、私たちの価値観の裏にある言葉 ―――
いつ生まれたのか、少し気になりませんか? まさか人類が誕生してからずっとあるということはないはず・・・ ということで、調べてみました🤔
1時間働かなければ、 1時間分の利益を失っているのと同じだ […]
時は金なり、覚えておくように。
時は18世紀のアメリカ、政治家、物理学者であるベンジャミン・フランクリンという人がいました。彼が書いた本「若い商人への助言」、今で言うビジネス書の中で言った言葉がこれだそう。(彼はアメリカ建国の父の一人と言われていて、紙幣の肖像画になっているほどの偉い人です)。

当時のアメリカ社会は、職人、商人などの個人事業主が中心。暗くなったら仕事は終わりという、農民的な成り行き任せの働き方から、経済的なものへと変化していった時代。時間をどう使うかが収入に大きく影響するようになってきた中で、彼の問題意識から出た言葉。
そして時代は、イギリス発の産業革命、資本主義へと移っていきます。都市部の工場で、たくさんの労働者たちの機械による大量生産が始まります。
時間を厳しく管理して、限られた時間でいかに多くの物を作るか
という働き方に変わっていきました。時間=賃金、時間=価値、という考え方が常識として、人々に浸透していったのです。それが数百年という長い時間を経て、現代の私たちにも脈々と受け継がれているというわけです。
効率化の先で待っていた時間
産業革命の時と現在とで、平均的な労働者の1日の時間割を作ってみました(本やネットの情報を基に作成)

どうでしょう。現代の方はもちろん人によって違いがあると思いますが、平均して考えるとこんな感じですかね。産業革命の時から今に至るまで、機械・コンピュータ・ロボットなどのテクノロジーは目覚ましい速度で発達してきました。生産性の向上、労働環境の改善などで労働時間が徐々に短縮され、昔と比べて個人の自由時間はかなり増えています。
ただ、この効率化で手にした時間、私たちはいったい何に使っているんでしょう・・・
自分自身を思い返してみると・・・
ネット通販?YouTube?家族とのだんらん?読書?ゲーム?SNS?
AIの浸透で、今後ますます自由時間の増加が見込まれそうな未来。終わりなき効率化レースで手にした時間は、果たして自分たちが本当に望んだものなのか。そもそも何のために効率化しているのか。
そんな深遠な問いを、私たちに投げかけてくるのがこの本です。






