花見と月見

宵桜
宵桜 東山魁夷

この記事を書いているのは、ようやく訪れた初秋―――
最近は夏が暑すぎて、その熱気が冷めるまでが長くなり、秋の訪れが遅いように感じますね。やっと秋が訪れたと思ったら寒くなり、またたく間に冬が到来する。そして春が訪れ、また夏になり・・・こうして歳をとっていく😅

私は四季の中で一番”秋”が好きで、次は”春”です。あなたはどうですか?
今回は日本人の”春”と”秋”の風物詩、「花見」「月見」のお話です。

花見の歴史

花見-川

“桜”は日本の象徴とも言うべき存在で、その花を愛でる「花見」は毎年の春の行事として欠かせません。みんなそうだと思いますし、私も毎年どこかへ見に行きます。「花見」がそんな風に日本人に定着するまで、どんな歴史があったのか少し振り返ってみましょう。

  • 奈良時代(8世紀)― 梅を愛でる時代
    花見の起源は今から1300年ほど前まで遡るそうです。ただ当時の主役は、”桜”ではなく”梅”。貴族の間で、梅は中国伝来の高貴な花として扱われ、日本最古の和歌集『万葉集』にもこの梅が多く詠み込まれています。
  • 平安時代(9〜12世紀)― 梅から桜へ
    梅(中国的)から桜(日本的)へと時代の価値観の変化があった時代。9世紀初頭には、当時の天皇である嵯峨天皇が、京都で桜の花見を催したのが、「日本最初の花見の宴」とされているそうです。この時代の有名な文学作品『源氏物語』『枕草子』に、桜の描写が多く登場します。
  • 鎌倉〜室町時代(13〜16世紀)― 貴族から、武士へ
    武士が全盛のこの時代、花見がさらに広がっていきました。足利の歴代の将軍も桜を愛で、寺院や庭園で観賞会を開いたそうです。さらにこの頃から、「花を見る」だけでなく、「宴を楽しむ」文化が生まれてきたのだとか。
  • 江戸時代(17〜19世紀)― 庶民へも浸透し、大衆文化へ
    時の将軍、徳川吉宗が上野の飛鳥山などに桜を植え、庶民が楽しめる行事として奨励しました。「酒」「弁当」「屋台」「三味線」など、今の花見に通じるスタイルが完成したそうです。浮世絵にも花見の風景が多く描かれ、春の風物詩として定着していったのだとか。
  • 明治~現在(19~21世紀)
    明治期には全国に桜が植えられ、学校や公園でも桜が見られるようになりました。戦後になると「桜前線」「開花予想」などの気象情報と共に国民の毎年の行事となり、今に至ります。

月見の歴史

月見

次は「月見」です。

  • 奈良時代(8世紀)― 花見と同じくして
    花見が起こった同じ頃、唐(中国)から伝わった中秋節(仲秋の名月)が月見の起源と言われています。当時の中国では、旧暦8月15日に月を鑑賞し、酒宴や詩歌を楽しむ風習があったそうです。また『万葉集』には、花見と並んで月見も多く詠まれています。
  • 平安時代(9〜12世紀)― 月見の全盛期
    当時の貴族が住む宮中では、月を池の水面に映して眺める「観月の宴(かんげつのえん)」が盛んに行われました。月は”もののあはれ”を象徴する存在で、「心の奥にある感情を映す鏡」のように扱われたのだそうです。
  • 鎌倉〜室町時代(13〜16世紀)― 禅や侘び寂びとの融合
    武士や僧侶にも広がり、次第に精神性の高い行事となっていきました。禅宗や茶の湯の広まりとともに、「静けさ」「無常」「悟り」を月に重ねるようになったのだとか。こうして月は”観賞”から”内省”の対象へと次第に変化していきました。
  • 江戸時代(17〜19世紀)― 庶民の行事へ
    農民の間で、秋の実りに感謝する行事「収穫祭」として広まります。また十五夜に、だんご、芋、すすきなどを供えるという、現代に通じる風習が定着したのもこの頃だそうです。俳句や浮世絵にもこうした月見を描写した場面は多く登場します。
  • 明治~現在(19~21世紀)
    明治時代の大きな変化として、なんと暦が変わります。従来の太陰暦から太陽暦(数え方が月の満ち欠けから太陽の公転を基準に)の採用により、旧暦の十五夜が毎年異なる日付になりました。現在では、花見と違って月を見て誰かと何かをするということは少ないです。ただ毎年秋になると、テレビやお店で月見をイメージした商品が登場して、国民はシーズン到来を知ります。

花見と月見を並べると

桜と言ったら、どんなイメージを持ちますか?

人によってそれぞれだとは思います。ただ多くの日本人が、淡いピンクの花びらを満開に咲かせた見事な桜が、ほんの短い間に散っていってしまう姿を見て、ふと抱く感情があるはず。日本人の美意識にも通じるこの感情は、武士道や文学、映画などでも人生の比喩としてしばしば描かれます。一方、月見は?

ということで、花見と月見を、色々な見方で比較してまとめてみました。

花見月見
行う季節
始まった時代平安時代(桜)奈良時代
イメージ「新しい生命」「はかなさ」
「無常」「再生」「喜び」
「静けさ」「郷愁」「内省」
「成熟」「癒し」「感謝」
現在の習慣多くの国民にとって
毎年の習慣として根付いている
言葉の知名度はあるが、
月見をする習慣は花見に比べて少ない
しつらえ(設え)弁当、三色団子、餅、日本酒、
ビール、重箱、徳利、お猪口、敷物
団子、芋、栗、和菓子、日本酒、
盃、すすき、三方(供え台)、行灯
商売桜をテーマにした
商品・パッケージが春限定で展開
(飲料・コスメ・ファッションなど)
「月=卵の黄身」に見立てた食べ物
(月見バーガー、牛丼・うどんの
“月見”シリーズなど)
が毎年登場
マックとスタバ

内向型は月見?

今回「花見」と「月見」を比較しながら見てきましたが、あなたは花見と月見のどちらが好きでしょうか?

自分はどちらかを選べと言われたら・・・難しい😅 それぞれに心惹かれるところがあるので。ただこのブログのテーマである内向型という観点で言うと、「月見」ですね。少し強引ですが、「花見」は分類するとしたら外交型。その華やかで万人に愛される様は、外交型そのものです。対して「月見」はもの静かで、ひっそりとしたイメージがまさに内向型。私は仕事の帰り道、ふと空を見上げて月の様子を伺うなんてことがあるくらい、月を見ることが好きです。秋の月の雰囲気が一番好きですが、一年を通して見ています🌓

春の「花見」、秋の「月見」、そして夏は・・・、冬は・・・。それぞれの季節に特徴があり、その特徴から生まれた行事がある。それらはどちらかが良い、悪いと判断するものではなく、純粋に楽しむもの。

そう考えると「内向型」「外交型」も人間の性格の一つの特徴です。受け入れて楽しんで、“自分らしさ”を形作っていく。私はようやく中年になって、自分らしさを本当に楽しんでいる気がします。この感覚は、人間の根源的なものに通じる何か・・・なかなか言葉では表現できませんが、それほど素晴らしいものです。あなたもぜひ、季節の行事と共に、自分らしさを楽しんでみてください!

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おつう / O'tu
こんにちは。40代、ITエンジニア、既婚者です。
性格は自他ともに認める強めの内向型で、この年になってようやく、 この性格と上手くやっていけるような気がしてきました。
きっと同じ悩みを抱えている大勢の人たちが、私のような苦労をせずに、 少しでも早く自分の持ち味に気付いてもらえたら。 そのために私の経験が少しでも役に立てば。そんな想いでブログをやってます!